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2019年11月11日

HIV療法による体重増加の理由を調査する

Searching for an explanation of weight gain on HIV treatment

[Andrew Hill presenting at EACS 2019. Image: @andreaantinori]

スイスのBaselで開催されている第17回欧州エイズ会議(EACS 2019)では、昨日、満員の会場でHIV療法を受けている人の体重増加に関するセッションが行われた。

過去2年間で、ドルテグラビル服用による体重増加が注目されるようになったが、体重増加の問題はさまざまな抗HIV薬と関連しているようである。最新の抗レトロウイルス療法による体重増加は、ウエスト周囲径の増加を伴う全身の脂肪の増加(皮下脂肪と内臓脂肪の両方)と一致している。これは20年前に観察された脂肪異栄養症(リポジストロフィー)とは異なるものである。

本会議でUniversity of LiverpoolのAndrew Hill博士は、抗レトロウイルス療法開始後の体重増加は、CD4細胞数の減少および/または高ウイルス量に対する治療を開始した人の「健康回復」効果による部分もあるが、特定の薬剤と強く関連していると思われると述べた。さらに、特定の薬剤との併用による相加作用もあるようであった。

インテグラーゼ阻害剤のドルテグラビルとビクテグラビルは、体重を最も増加させる。テノホビルの旧製剤(テノホビルジソプロキシルフマル酸塩:TDF)は、テノホビルの新製剤(テノホビルアラフェナミドフマル酸塩:TAF)やアバカビルよりも体重増加は一貫して少ない。体重増加はNNRTIのリルピビリンでも認められている。

新規薬剤の臨床試験では、症例数の少ない女性および黒人の被験者において最大の体重増加が認められ、このことが体重増加の原因調査を複雑にしている。薬物代謝に対する遺伝学的な影響から体重増加の差を説明できる可能性がある。インテグラーゼ阻害剤を含むレジメンに切り替えた後に体重増加がほとんどみられなくなったことを示す試験がいくつかあるが、これらの試験には白人男性の症例が多く含まれている。

テノホビルのTAF製剤は骨折や腎不全のリスクが旧製剤のTDFよりも低いが、臨床的肥満のリスクが高いことや、心血管疾患、がん、アルツハイマー病、有害な出産アウトカムおよび糖尿病に対し潜在的な影響を与える可能性があることから、それらのバランスを取る必要があるとHill氏は主張した。

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This material is based on an original copyright publication by NAM Publications, an independent HIV information charity based in the UK. Permission for this adaptation has been granted by NAM. The original publication can be viewed at www.aidsmap.com. NAM cannot be held responsible for the accuracy of the adaptation nor the local relevance of the text.

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